2018年7月
「タンパク質、糖質、脂質をしっかり補給し、がんと闘う力をつけることが大切です」と語る東口髙志さん がん患者さんの約2割は診断時点で低栄養に陥っており、治療が進むとその割合は8割以上にのぼるという。これは、がんそのものが多くのエネルギーを消費する上、手術、抗がん薬、放射線などの治療がエネルギーを必要とするためだ。奪われたエネルギーを十分補給できないと、低栄養によって体力が低下し、せっかくのがん治療も...
2018年7月
「子宮頸がんは、Ⅱb期までなら、手術と放射線治療は同等の効果です。Ⅲa~Ⅳa期は放射線治療でないと治せません」と語る村上直也さん 小線源治療が、なぜ子宮頸がんで効果的なのか。前立腺がんで多く活用されるのか。それには確たる理由があった。体の内側からピンポイントで放射線を照射する小線源治療について考えてみた。 放射線治療の歴史は小線源治療から始まった 放射線治療をひと言でいうと、直接的あるいは間接的に...
2018年7月
「最新式ガンマナイフ導入で、より患者さんに負担が少ない治療ができます」と語る赤羽敦也さん がんの遠隔転移によって起こる転移性脳腫瘍。腫瘍によって手足の麻痺や、痙攣など様々な神経症状が出る。そうした中で治療件数を伸ばしているのがピンポイントの放射線治療装置ガンマナイフだ。通常は1回の照射で退院できる。開頭手術に比べて身体的な負担が軽く、高齢者や体力を消耗した患者にも治療可能などのメリットがある。その...
2018年7月
「将来的には子宮頸がんなど他のがんにも応用が期待できるかもしれません」と語る扇田真美さん 治療の選択肢が豊富で、適切に治療を行えば予後も良好な前立腺がん。その放射線治療において、直腸の副作の軽減に大きく貢献することが期待できるハイドロゲルスペーサー(SpaceOARシステム)が新たに保険収載となった。ハイドロゲルスペーサーをアメリカから導入し、自ら臨床試験に取り組みながら、今後の普及に期待をかける...
2018年5月
「今後、CAR-T細胞療法が、さらに様々な研究により進化し、日本国内で実践される日ができるだけ早く来ることを期待しています」と語る今井千速さん 新型のがん免疫治療薬キムリアが2017年8月米国で承認された。この免疫治療薬はCAR-Tと呼ばれ、ヒトの免疫細胞であるT細胞に遺伝子操作をして、がん細胞を見つけやすく加工したものだ。CAR-Tはすばやくがん細胞を見つけて死滅させる。そのCAR-T細胞の発明...
2018年4月
「1滴の血液でがんがわかれば大きなアドバンテージになります」と語る高丸博之さん 1滴の血液から13種類のがんが早期発見できるというマイクロRNAを活用したがん診断法の研究が、国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野長・落谷孝広さんを中心に進んでいる。同じく当病院内視鏡科の高丸博之さんも、大腸がんの早期発見を可能にする診断法の実用化に向けて、その臨床的なパートの研究に協力している。 これまでは...
2018年4月
「穿孔や出血など、ESDの合併症を限りなくゼロに近づけたい」と語る大圃(おおはた)研さん(左)「40歳を超えたら一度は大腸内視鏡検査を受けてください」と語る村元喬(たかし)さん(右) 大腸の内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が保険適用されて6年、その技術は今も進化し続けている。高度な技術を要するESDだが、合併症の発生率も徐々に低下し、「早期大腸がんは、内視鏡治療で根治できる」と言えるまでになってき...
2018年4月
「がんの診断が下ったときから栄養療法を開始するほうがよい、という感触を持っています」と語る原町赤十字病院副院長の内田さん 「がんが将来的にどのように経過していくか」を予想する目安となる因子を「予後因子」という。ステージ(病期)やがん細胞の悪性度などがよく知られているが、最近、進行・再発した患者によく見られる「悪液質」という因子が注目されている。これが、がん治療をしても奏功しにくいなど、生命予後に関...
2018年3月
「免疫は、記憶するシステムです」「進行がんが治癒する日は、そう遠くないかもしれません」と語る西川博嘉さん 目覚ましい進化を続けるがん治療に、「免疫チェックポイント阻害薬」という新風が吹き込んだ。手術、放射線治療、薬物療法に次ぐ第4の治療法として話題の免疫療法の1つだ。これまでのがん治療の考え方を根本から覆すかもしれない免疫チェックポイント阻害薬とは、がん細胞にどうアプローチするのだろうか。それを知...
2018年3月
「初めは、何もわからないままに治療を受けていましたが、具合が悪くなり、自分でも情報を集めるようになりました」と語る森さん 群馬県高崎市に在住の森雅人さん(50歳)は、脱サラして忙しく働いていた40代半ばの2015年1月、肺がんステージⅢaの告知を受けた。実際には、副腎に遠隔転移していたためステージⅣになる。標準治療の抗がん薬治療を受け、一旦は著効したが、体力は消耗していく。その頃、免疫チェックポイ...