末梢血幹細胞移植を併用した化学療法のリスクは?
2年ほど前に、B細胞性非ホジキンリンパ腫のびまん性リンパ腫と診断されました。病期は2期とのことで、リツキサンを加えたR-CHOP療法という化学療法を受けました。この化学療法は、よく効きました。しかし、最近、再発の可能性があると言われました。末梢血幹細胞移植を併用した化学療法を受ける必要があるようです。移植医療は向上しているようですが、いろいろなリスクも伴うとのことです。リスクの1つとして、2次発がんもあるようです。このリスクが1番気になります。2次発がんが起こる割合は、どの程度なのでしょうか。避けられないリスクなのでしょうか。
(岐阜県 男性 51歳)
A 移植10年後に2次発がんは20パーセント
抗がん剤のリスクの1つとして、2次発がんがあります。そのリスクの割合は、どのような化学療法をどのくらいの量を投与したのか、放射線治療の範囲によって変わってきます。たとえば、べプシド(一般名エトポシド)は、2次発がんを比較的引き起こしやすい抗がん剤の1つです。この抗がん剤を1年とか、2年と長い間使用すると、2次発がんが起きやすくなります。また、抗がん剤治療を開始したのが若い人ほど長期生存が可能なため2次発がんを起こす確率は高くなります。
末梢血幹細胞移植は、移植前に前処置と呼ばれる大量の化学療法や放射線治療を行ってから移植をします。海外では全身放射線治療と大量のエンドキサン(一般名シクロホスファミド)を前処置とした移植10年後に2次発がんを発症する割合は20パーセントと報告されています。2次発がんとして多いのは、半数は急性骨髄性白血病、半数は肺がんや乳がんの固形がんです。ただし、日本では3人に1人ががんになる時代です。抗がん剤が直接の原因なのか、もともと遺伝的にがんになりやすい体質だったのか原因を区別することはできません。2次発がんをご心配になるお気持ちはよくわかりますが、再発した場合には、悪性リンパ腫の治療をきちんと行ってください。2次発がんを気にしすぎて、移植治療など治癒をめざせる治療を回避してしまうのは問題です。そして、移植後も定期検査を受けていただき、もし、がんができたとしても早期発見し早期治療していくことが大切です。