2023年8月
「ctDNAで、術後補助療法が必要かどうかがわかり、無駄な治療を回避できることで、副作用で苦しむ人を減らすことができます。また、再発する人も極限まで減らせるのではないかと期待されています」と語る沖英次さん 大腸がん手術後の補助化学療法は、従来はステージと病理検査などから推定されるリスクに応じて行われていました。そこにゲノム医療を導入しようと臨床試験が行われ、術後のctDNAが陽性の人は、陰性の人に...
2023年8月
「高リスクになりそうな甲状腺がんには、病理診断を行う段階で遺伝子検査を行うことが勧められます。現在はそのような仕組みがありませんが、今後の課題だろうと思います」と語る杉谷さん 甲状腺がんは、肺がんや胃がんといった他の固形がんとは、かなり異なる特徴をもっています。とくに小さくて転移や浸潤もない超低リスク乳頭がんの場合には、すぐに手術をせず経過観察する「非手術経過観察」も推奨されています。日本のガイド...
2023年7月
「切除可能NSCLCの薬物療法は術前か術後のどちらがよいかが、いま大きな議論になっています。私はステージⅢなら術前、ステージⅡまでは現時点では術後がよいと考えます」と話す大矢由子さん 切除可能でもⅡ期以降は術後補助療法が推奨される非小細胞肺がん(NSCLC)。その周術期治療に、この1年、進化が起きています。術前、術後治療に免疫チェックポイント阻害薬が登場し、EGFR遺伝子変異陽性には術後補助療法に...
2023年7月
「IVRという名称は一般にはあまり知られていませんが、IVRという治療法は広く行われている治療法なのです」と語る山門さん 電磁波の一種であるラジオ波でがんを焼くラジオ波焼灼術は、2004年、肝がんの治療に対して保険適用されただけでした。しかし、昨年(2022年)9月から適応が拡大され、肺腫瘍、腎腫瘍、骨腫瘍なども保険で受けられるようになっています。これらの治療を以前から行っている兵庫医科大学放射線...
2023年7月
「今回の改訂版は、多職種によるチーム医療で患者さんのQOLをよくしていくということが最大のメッセージです」と語る柴田さん 骨転移――以前は「骨にまでがんが広がったら、せいぜい痛みをとるくらいしかない」という状態を意味しました。その後、骨転移治療は進歩していきましたが、その情報を啓蒙する必要があると、2015年に初めて『骨転移診療ガイドライン』が発刊されました。今回は、7年ぶりに改訂された第2版のポ...
2023年6月
「エンハーツが今まで適応にならなかった45~55%のHER2-low患者さんに使用が可能になったことは大きい」と語る向井さん 抗体薬物複合体という新しいタイプの薬剤エンハーツは、2020年3月、HER2陽性の転移・再発乳がんに対する3次治療薬として承認されました。そして、2022年11月には2次治療で、さらに今年3月には、従来のHER2陽性のみならず、HER2の発現が少ない(HER2-low)乳が...
2023年6月
東京国際フォーラムで開催された日本産科婦人科学会 第75回日本産科婦人科学会が5月12日から14日の3日間にわたって、東京国際フォーラムで開催された。今年のテーマは、「慈心妙手」(じしんみょうしゅ)。「良医は慈しみの心とすぐれた手技をもって診療に努めること」という意味だ。会長を務めた東京慈恵会医科大学産婦人科学講座主任教授の岡本愛光さんは会長講演で、「近年の遺伝子研究が、実際に臨床レベルでどのよう...
2023年5月
「まずは性交渉開始前の年齢で、男女ともに、HPVワクチン接種を受けることから始めましょう」と話す上田豊さん 今年(2023年)4月1日から、日本でも子宮頸がん予防ワクチンであるHPV9価ワクチンが定期接種になりました。子宮頸がんの原因となるHPV感染を防ぐHPVワクチン。日本では、副反応問題で事実上、長く停止されていましたが、昨年4月より2価、4価のHPVワクチンの積極勧奨が再開され、今年、2価、...
2023年5月
「現在治療中の進行性尿路上皮がん患者さんは、キイトルーダはもちろん、バベンチオやパドセブといった新規薬剤の治療を受けることができます。これから数年後のデータでは、生存期間がさらに延長していることが期待されます」と語る田口さん 進行性尿路上皮がんの治療は、2017年にキイトルーダが使用できるようになって大きく変わりました。キイトルーダがなかった〝旧時代〟と、キイトルーダが使えるようになった〝新時代〟...
2023年5月
「小線源療法を受けた前立腺がん患者さんの長期成績を得るための前向きの世界最大規模の登録研究です。他の治療成績と比較する場合にも、参考になる重要なデータだと思います」と語る飯沼さん 前立腺がんの放射線療法の1種である小線源療法。その長期治療成績が、大規模な登録試験によって明らかになりました。それによりますと、10年全生存率は90.3%で、前立腺がんが原因で亡くなる人はごくわずかでした。早期の前立腺が...