2020年4月
「ウイルス療法薬が登場すると、悪性脳腫瘍はもちろん固形がん全体をウイルス療法により根治に導くことが大いに期待できます」と語る藤堂具紀さん 脳神経外科領域の疾患で、難治である悪性脳腫瘍。生命予後は極めて悪く、再発すれば延命が難しくなる。そんな悪性脳腫瘍に対して新しい発想の治療により希望の光が射している。ウイルス療法だ。がんをウイルスで治療するという考え方は、1950〜60年代からあった。それが遺伝子...
2020年3月
「ガイドラインは医師用と銘打っていますが、患者さんにもわかりやすくなりました」と語る橋口陽二郎さん わが国で増え続けている大腸がん。国立がん研究センターのがん登録、統計による2019年の罹患数予測は、がん種全体で1位、男女別では男性1位、女性2位。死亡数予測では、全体で2位、男性で3位、女性で1位だ。その大腸がんの治療の指針となる「大腸癌治療ガイドライン」の2019年版は全面改訂され、さまざまな点...
2020年2月
「小細胞肺がんは進行が早いので、化学療法で進行を抑えながら免疫療法の反応が出るのを待つ、という治療戦略が功を奏したのではないかと思います」と語る西尾誠人さん 非小細胞肺がん治療は、ここ数年、目覚ましい進歩を遂げてきた。一方、この20年弱、新しい治療法も薬も登場しなかった小細胞肺がん。そんな中、昨年(2019年)、長い沈黙を破って待望の新薬が承認された。これまでの化学療法に免疫チェックポイント阻害薬...
2020年2月
「肺臓炎をうまく抑えて、化学放射線療法後、イミフィンジの投与をできるだけ早く開始したほうが良い結果が出ています」と語る大西 洋さん 非小細胞肺がんⅢ期における化学放射線療法は標準治療だが、最近、治療後の免疫チェックポイント阻害薬の上乗せ効果が認められ、その治療が標準治療化されてきた。今後はさらなる延命効果を望むために、様々な治療の組み合わせが臨床試験を通じて模索されていきそうだ。ここでは手術不能非...
2019年10月
「免疫チェックポイント阻害薬は、再発・転移性頭頸部がんのキードラッグ。どの患者さんに、どのタイミングで使うかが重要です」と語る岡野 晋さん 再発・転移性頭頸部がんに対する免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ(一般名ニボルマブ)が2017年3月に承認されてから2年半。臨床現場では、第Ⅲ相試験の結果以上の効果が出ているという。近々、2つ目の免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダ(同ペムブロリズマブ)も...
2019年8月
「食道がんは、新しい薬が生まれてこない領域でしたが、免疫チェックポイント阻害薬の登場により、一気に大きく進歩できると考えています」と語る加藤健さん 進行・再発食道がんに対する化学治療において、大きなトピックがある。2019年1月、解析終了した「ATTRACTION-3」という臨床試験の成績結果、免疫チェックポイント阻害薬の*オプジーボ(一般名ニボルマブ)が、2次治療において、従来のタキサン系の抗が...
2019年7月
「新しい薬の期待が大きく、今はそれに目が向いています」と語る平嶋泰之さん 婦人科がんの中でも早期発見が難しく、多くの場合見つかったときはステージ(病期)がⅢ、Ⅳ期と進行しているため、予後が悪い卵巣がん。しかし、化学療法の進歩で進行・再発がんでも、治療の選択肢が増えた。そのため、卵巣がんの発症率は増えているものの、死亡率は減ってきている。そんな中で、今、注目されていた卵巣がんの初回化学療法後の維持療...
2019年7月
「がんばってくれれば、きっといい薬がでるからと患者さんを励ましていましたが、それも夢ではなくなりました」と語る加藤さん 5年ぶりに、第4版が出版された『子宮体がん治療ガイドライン2018年版』(2018年9月)。「基本は手術」は変わらないものの、腹腔鏡下手術が普及し、ロボット支援下手術が保険適用になるなど、知っておきたい情報は少なくない。さらに、2018年12月に日本で初めてがん種横断的に保険適用...
2019年6月
「免疫チェックポイント阻害薬が分子標的薬と決定的に違うことは、薬物療法だけで完治の可能性がある人が出てきた、ということです」と語る木村剛さん 転移性腎がん・切除不能腎がんへの免疫チェックポイント阻害薬オプジーボ(一般名ニボルマブ)承認から3年。臨床試験による経過追跡は4年を超え、動向が見えてきた。2次治療でのオプジーボ単独に加え、1次治療での免疫チェックポイント阻害薬同士の併用療法、さらには免疫チ...
2019年6月
「手術後は、残っている腎機能を低下させないことが大切。もちろん禁煙も」と語る榎本裕さん 組織的には膀胱がんと同じ尿路上皮のがんだが、悪性度は膀胱がんより高く、全体としては罹患者が少しずつ増えてきている腎盂・尿管がん。基本となる治療は手術という流れはここ10年で大きく変化はないが、検査の精度や手術の方法などは著しく進歩した。また、免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダがセカンドライン(2次治療)の標...