2012年6月
副作用の少ない TS-1に期待をよせる 佐藤温さん 以前は、腎機能が低下しているなどの身体的な衰えが見られる高齢者には化学療法は難しかった。しかし、TS-1の登場で高齢者にも化学療法が行われるようになっている。また、新たな治療薬にも期待が集まっているという。 高齢者の抗がん剤治療を難しくしている理由現在、胃がんの患者数はやや減少傾向にあるが、高齢者人口の増加に伴い、高齢者の胃がんは増えていくと...
2012年6月
胃や食道など消化器の 低侵襲手術を実践する 北川雄光さん 胃がんの低侵襲手術では、腹腔鏡下手術の臨床研究が進んでいる。例えば、1期の胃がんでは、開腹手術との比較が行われている。腹腔鏡下手術のメリット・デメリットは? 術中のセンチネルリンパ節生検は温存手術にどう生かせるのか?進行中の試験から見通せる現状をいち早く紹介する。 腹腔鏡下手術のさらなる進歩 [図1 胃の機能温存手術の種類] [...
2011年6月
研究・臨床に積極的な 吉川貴己さん 胃がんの中でも、悪性度の高いスキルス胃がん。腹膜播種があると、外科手術はほとんど不可能という。鍵となってくるのが化学療法。その化学療法はどこまで進んでいるのだろうか。 胃壁全体にがん細胞が広がってしまうタイプ [図1 ボールマン分類] [図2 スキルス胃がんが進展していく過程] スキルス胃がんは、胃がんの中でもとくに発見しにくく、治療が難しいことで知ら...
2011年6月
世界で初めて内視鏡で 十二指腸にステントを入れた 前谷 容さん 胃・十二指腸閉塞患者さんに朗報! 20分前後の内視鏡治療で、1~2日後には口から食事をとれるようになるというステント留置療法。つらいおう吐や脱水の症状もなく、開腹手術も必要ないこの治療法は、昨年4月に保険適用となり、患者さんへの周知が期待される。 胃がんや膵がんが進行し、胃・十二指腸閉塞が発生胃がんや膵がんが進行した患者さんに、...
2011年6月
胃がんの化学療法は 確実に進歩していると語る 大津 敦さん これまで手術がメインだった胃がん治療。しかし、ここ数年で胃がん治療においても化学療法の効果が立証され、新たな分子標的薬も登場しています。胃がんの最新化学療法のトピックを紹介します。 手術+TS-1が根治への標準治療胃がんにおける術後補助化学療法の適応は、腫瘍が胃壁の筋層にまで達していて、リンパ節に転移がある場合からです。 現在では、T...
2010年8月
杏林大学医学部感染症学教授の 神谷 茂さん 胃がんの原因として話題を呼んだヘリコバクター・ピロリ、いわゆるピロリ菌は、本当に胃がんの原因なのだろうか。除菌はしたほうがいいのだろうか。胃がんとピロリ菌をめぐって、現在どこまでわかっているかを調べてみた。 感染したからといって胃がんになるわけではない ピロリ菌の顕微鏡写真 私たちの胃や腸には多くの細菌が生息しており、多くは病原性がなく、消化を助...
2010年8月
市立堺病院外科部長の 今村博司さん 胃がんの手術後には、再発を防止するため、TS-1による1年間の補助化学療法が行われている。治療を途中でやめずに1年間服用を続け、予定の服用量の7割以上を服用できると、治療効果がよくなることがわかっている。高い治療継続率を達成している市立堺病院では、地域の診療所との連携による補助化学療法が始められている。 術後補助化学療法は継続してこそ効果がある 胃がんの手術...
2010年8月
癌研究会有明病院副院長 ・消化器外科部長の 山口俊晴さん 一般向けの「胃癌治療ガイドライン」が6年ぶりに改訂される。今回の改訂では、国際標準に合わせて従来のステージ(病期)分類が変更されるとともに、進行胃がんに対する術後化学療法の有効性など、エビデンスに基づいた新しい研究内容も盛り込まれる。改訂のポイントを、ガイドライン作成委員でもある癌研究会有明病院副院長の山口俊晴さんに教えてもらった。医師用と...
2010年2月
名古屋医療センター 内視鏡診療部長の 岩瀬弘明さん 2010年改訂版が出る胃がんの治療ガイドラインでは、進行・再発胃がんの標準治療として、TS-1+シスプラチンが推奨される予定だ。臨床試験におけるこの治療法の成績は、奏効率54パーセント、50パーセント生存期間13カ月だった。これを上回る治療成績を残したのが、TS-1+シスプラチン+パクリタキセルの3剤併用療法である。この臨床試験データは、2008...
2010年2月
東京大学腫瘍外科助教の 石神浩徳さん 胃がんの中でも、がんが進行してお腹中にがん細胞が散らばる腹膜播種。腹膜播種が起こってしまうと治療は難しく、現在のところ治療法は確立されていない。そうした中、新たな方法として注目されているのが、抗がん剤を直接お腹の中に注入してがん細胞を叩く治療法だ。高い治療成績も出始めている。 お腹中にがん細胞が散らばる腹膜播種 胃の粘膜で発生した胃がんは、大きくなると胃の壁...