Ⅰ期の舌がん。生活に支障の少ない治療は?

回答者・岸本誠司
東京医科歯科大学頭頸部外科教授
発行:2013年11月
更新:2019年8月

  

Ⅰ期の舌がんです。舌のやや奥の右側の辺縁にがんができたのですが、治療法は手術と放射線治療のどちらも選ぶことができるそうです。医師からは選ぶ基準の説明を受けたのですが、よく理解できませんでした。食べること、話すことに支障の出ないような治療を希望したいと思っているのですが……。

(岐阜県 男性 68歳)

Ⅰ期なら、治癒率も機能温存面でもほとんど差はなし

東京医科歯科大学
頭頸部外科教授の岸本誠司さん

大きさが2cm以下のⅠ期で辺縁部の舌がんの手術は、小さく切除して舌を縫い合わせる術式になると思います。放射線治療は通常の外照射ではなく、組織内照射(小線源療法)が行われます。組織内照射は一時的に線源を刺して放射線を直接照射する高線量率組織内照射と小さな粒状または針状の線源を刺し入れて留置する低線量率組織内照射があります。舌がんでよく行われるのは後者のほうです。

手術のメリットは1週間ほどの入院で治療が終了すること。デメリットは辺縁部の位置や深さなどによって、切除範囲の大小があり、大きな切除が必要な場合に摂食や発語の機能が低下する可能性があるという点です。

一方の放射線治療ですが、手術と比べれば摂食や発語の機能温存面では優っていますが、まれに歯茎の骨の壊死が起こるなどの副作用のリスクがあります。

Ⅰ期の舌がんでは治癒率においても機能温存面においても、手術と上記の放射線治療の差はないと言ってもよく、相談者はどちらを選ぶこともできます。一方、Ⅱ期の場合だと、手術では多少の機能障害が残る可能性が出てきますが、小線源療法では治癒率はやや低くなります。どちらの治療を選択するかについては、主治医とよく相談するようにしてください。

ただし、この組織内照射ができる施設は限られていますので、地域によっては受けるのが難しい場合があります。

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