2020年2月
「1、2年くらいで効果が薄れてしまう分子標的薬の使う順番を検討することは今後の課題です」と語る久保田 馨さん がんの中でも予後が悪い肺がん。その中で驚くほど生存率を伸ばしてきたのが、手術不能または再発した、つまり進行した非小細胞肺がんの治療だ。分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬などの新薬が相次いで登場し、遺伝子解析により〝効く人に効く〟薬剤を選択できる個別化医療が進化しつつある。さらに、治療薬...
2020年2月
「小細胞肺がんは進行が早いので、化学療法で進行を抑えながら免疫療法の反応が出るのを待つ、という治療戦略が功を奏したのではないかと思います」と語る西尾誠人さん 非小細胞肺がん治療は、ここ数年、目覚ましい進歩を遂げてきた。一方、この20年弱、新しい治療法も薬も登場しなかった小細胞肺がん。そんな中、昨年(2019年)、長い沈黙を破って待望の新薬が承認された。これまでの化学療法に免疫チェックポイント阻害薬...
2020年1月
「凍結療法の破壊力は強烈なので、悪性度が高くても細胞を破壊できるのが強みです」と語る三木健太さん 進行が極めて遅いのが前立腺がんの特徴。中には、治療の必要すらないものも多い。必要ない治療を受けて体にダメージを与えないためにも、あわてないことが何より大切だ。そんな中、フォーカルセラピー(部分治療)の1つとして、さらに、放射線治療後の局所再発に対する救済治療として、凍結療法を手掛ける施設がある。東京慈...
2020年1月
「転移した去勢抵抗性の患者さんに、その次の治療法が模索されていたのですが、そこに登場したのがルテチウムPSMAだったのです」と語る榎本 裕さん ホルモン療法が効かなくなった(去勢抵抗性になった)と聞くと、今後の治療法が限られたようで焦りを感じる前立腺がんの患者は少なくないだろう。しかし、実際には去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の治療は、ここ5年ほどで驚くほど使用できる薬剤が増えている。そして、20...
2020年1月
「去勢抵抗性前立腺がん治療の選択肢は次々に増えてきていますので、患者さんにとっては大きな希望となるでしょう」と語る上村博司さん 前立腺がんはあらゆるがん種のなかでも、予後の良いがんとして知られている。I~Ⅲ期では5年相対生存率は100%だ。しかし、IV期では63.7%、なかでも遠隔転移のあるホルモン療法の効果がなくなった去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)では、生存期間はほぼ3年だ。だが、現在、次々に...
2019年12月
「がん患者さんの循環器疾患治療やがん化学療法で心血管系の副作用に対する治療の確立を目指す腫瘍循環器学会が2017年に創設されて、治療確立への推進力になっています」と語る矢野真吾さん 難治性がんで、不治の病というイメージだった白血病。2001年の分子標的薬グリベック(一般名イマチニブ)登場を境にイメージは変わった。とくに慢性骨髄性白血病において、推定5年生存率が9割を超えるまでになった。白血病全般に...
2019年12月
「今後登場してくる分子標的薬の中に急性骨髄性白血病の決定打があることを期待しています。そのためにも1次治療から使えるようになってほしい」と語る照井さん 急性骨髄性白血病の治療は進歩の兆しを見せているものの、現状、治療の基本は、化学療法で白血病細胞を叩くこと。寛解後は、予後を3段階に分けて、予後良好群以外は今も造血幹細胞移植が標準治療とされている。移植関連死の頻度を思えば、できることなら移植を回避し...
2019年12月
「慢性リンパ性白血病は3つの分子標的薬の承認によって、ドラッグ・ラグはかなり解消されました」と語る山本豪さん 慢性リンパ性白血病(CLL)は日本では患者数が少なく、治験も行われにくいことなどから、欧米で標準治療に用いられている治療薬が日本では使えないドラッグ・ラグ(新薬承認の遅延)が少なからず起きていた。ところが、2018~2019年にかけて3つの治療薬が日本で続けて承認された。それにより、慢性リ...
2019年11月
「適切な遺伝子の情報は、自分のためのものなのだと思って役に立ててほしい」と語る四元淳子さん 2019年6月、がん遺伝子パネル検査が保険適用になった。遺伝子情報を治療へ繋げていく試みは、スタートラインについたと言える。ただし、疾患に関連する遺伝子情報は、本人のみならず親族にも関わる繊細な問題だ。そんな様々なデリケートな部分をコンサルテーションするのが、認定遺伝カウンセラーだ。患者は今後自分の遺伝子情...
2019年10月
「光免疫療法は、頭頸部がんや食道がん以外のがん腫へのアプローチの可能性も。だからこそ、世界的に大きな期待が寄せられているのです」と語る田原信さん がん細胞だけを破壊し、副作用もごく少ない治療法として世界的に注目されている光免疫療法(PIT)。治療歴のある局所再発頭頸部がんを対象にした米国での第Ⅱa相臨床試験では、全奏効率約45%、完全奏効(CR)率約14%、全生存期間(OS)の中央値が9.1カ月と...