2009年9月
ベルン大学(スイス) 心臓病学部門医師の ステファン・ツビンデンさん 愛知県がんセンター 中央病院乳腺科医師の 岩田広治さん 日本ではあまり知られていないが、乳がんの標準治療として使われる抗がん剤や分子標的薬の中に心障害を起こす危険性のある薬がある。心障害が起こって命が絶たれたら元も子もない。この分野を専門的に研究している心臓専門医、スイス・ベルン大学病院医師のステファン・ツビンデン...
2009年9月
日本赤十字社長崎原爆病院 第1外科部長の 谷口英樹さん 手術時にがん周辺のリンパ節までごっそり取り除くリンパ節郭清がこれまで多く行われてきた。 しかし、リンパ節郭清をすると、腕や手がむくむリンパ浮腫や知覚麻痺などを引き起こしやすい。 ましてや検査の結果、リンパ節に転移がなく、郭清をしなくてもよかったというケースも少なくない。 不必要なリンパ節郭清をしなくてすむには、どうしたらいいのだろう――。...
2009年9月
日本大学医学部 消化器外科教授の 高山忠利さん 手術、ラジオ波焼灼療法、肝動脈塞栓療法など、肝がんは打つ手がいろいろある。 患者さんにとってはうれしいことだ。だがかえってそれが、患者さんの治療方針に対する理解を妨げている部分もあるようだ。 そこで、肝がんの診療ガイドラインをわかりやすく解説。この際、治療方針をしっかりおさえよう。 今年中に改訂版が出るが基本的内容は変化なし 『肝癌診療ガイ...
2009年9月
東京大学大学院 医学系研究科肝胆膵外科・ 人工臓器移植外科学講座講師の 長谷川潔さん 肝臓そのものが健康なら、臓器をかなり大きく切除しても、数カ月で再生する。 その手術は、がんが転移するルートである門脈の支配域を、領域ごとに切除する区域切除になります。 「門脈の支配域」とはどんなふうに確定するのか、どこをどのように切るのか。系統的切除ができる肝臓の秘密を探ります。 肝臓をいくつかの領域に分...
2009年9月
近畿大学医学部 消化器内科学主任教授の 工藤正俊さん 今年5月、肝細胞がん患者さんの生存期間延長を世界で初めて示した分子標的治療薬ネクサバール(一般名ソラフェニブ)が承認された。 これまで、肝がんには抗がん剤は効きにくく、全身化学療法は行われてこなかった。 ネクサバールの承認により、手術ができない患者さんの前途に希望の灯が点された。 多数の選択肢がある肝がんの内科的治療 肝がんは、肝障害...
2009年9月
鳴海病院院長の 淀野啓さん 抗がん剤が効きにくい肝臓がんでは、肝動脈(化学)塞栓療法や肝動注化学療法が注目されている。 マイクロカテーテルを使って肝臓の腫瘍部位まで薬を送り込むIVR治療と呼ばれる治療法だ。この治療方法の効果が高まった裏にはある薬剤の登場があった。 肝機能を考慮して選択する肝臓がんの治療法 日本人が罹患するがんで、男性では3番目、女性では5番目に多い肝臓がん。その多くの場...
2009年9月
順天堂大学医学部付属練馬病院 消化器内科先任准教授の 國分茂博さん 高温でがんを焼き払うラジオ波療法は、肝機能をよりよく保ちながら、再発した後も、何度も行える治療法として今や、肝がん局所療法の主流となっている。そのラジオ波療法がここへ来て新しい展開を見せ始めている。 負担少なく治療効果も高い局所療法の優等生 ラジオ波療法の電極針。電極針を刺し、治療部位に到着すると、このように先端部が放...
2009年9月
富山県立中央病院内科部長の 吉田喬さん 高齢化とともに増加している多発性骨髄腫。しかし、骨髄腫と診断がついたからといって、すぐ治療を始めたほうがいいとは限らない。そのあたりの治療の是非や内容を示す病型分類が新しい国際診断基準で明確になった。 社会の高齢化とともに骨髄腫患者が増える 多発性骨髄腫は白血病や悪性リンパ腫と同じ“血液がん”の1つ。治癒は非常に困難で、全身に骨病変を来して骨の痛みや...
2009年8月
横浜市立大学 顎顔面口腔機能制御学教授の 藤内祝さん 手術による機能の損傷や容貌の変化が大きく、患者にとって辛いがんの1つである口腔がん。 今、その口腔がんに対して、切らずに治す方法を積極的に取り入れているのが、横浜市立大学顎顔面口腔機能制御学教授の藤内祝さんです。 藤内さんらが行っているのは、がんの病巣に抗がん剤を集中させ、放射線治療を併用する、超選択的動注化学放射線療法。 一体どういった治...
2009年7月
国立がん研究センター中央病院 肺内科医長の 久保田馨さん 他のがんと異なり、どの組織ががんになったかによって、いくつかのタイプに分けられる肺がん。 当然タイプによってがんの性質も違い、治療法も異なってくる。 今、その肺がんの組織型によって、どの抗がん剤がより効果を示すのかがわかってきた――。 手術不能でも組織型別の化学療法で成績アップ 肺がんは早期発見が難しく、手術不能の段階で見つかることが多い...