濾胞性リンパ腫で再発。治療法について聞きたい

回答者・岡元るみ子
千葉西総合病院外来化学療法センター長/腫瘍内科部長
発行:2016年4月
更新:2019年8月

  

2012年に濾胞性リンパ腫(FL)Ⅳ(IV)期と診断され、13年1月~5月にR-CHOP療法を6回行い、7月に寛解(CR)となりました。経過観察していましたが、秋にⅡ(II)期となり、12月よりリツキサン・トレアキシンでの治療中です。最初の治療から再発までが約1年半と短かったため、今後トレアキシンでの治療が終わったら、再発予防にリツキサン単独での治療方法もあると言われました。まだ具体的な説明は聞いていないのですが、どの位の効果が期待できるのか、他の薬でも同様な方法があるのか、身体への負担など教えて頂けないでしょうか。

(62歳 女性 鳥取県)

リツキサン維持療法で 良い治療成績も報告されている

千葉西総合病院外来化学療法
センター長の岡元るみ子さん

濾胞性リンパ腫IV期と診断されR-CHOP療法を6コース行ったあとに寛解、約1年半後に再発し、現在、リツキサンとトレアキシンの治療を行われているのですね。この組み合わせの治療は、再発した濾胞性リンパ腫によく用いられる組み合わせの治療です。最大6コースまで施行することが可能です。

ご質問は、その後のリツキサン単独投与についてですね。化学療法後(ここでは、リツキサンとトレアキシンを組み合わせた治療のこと)に、リツキサンを単独で投与することを、リツキサン維持療法といいます。濾胞性リンパ腫は年単位で、ゆっくりと腫瘍が大きくなっていきますが、化学療法が効いても、再発を繰り返す性格を持っています。ですから、主治医の先生は今の治療がとてもよく効いていると画像で確認してから、再発を抑える、あるいは化学療法で小さくなったリンパ節が大きくならないように、リツキサン維持療法を考えているのだと思います。

一般的な化学療法ですと、消化器症状(吐き気や下痢など)、骨髄抑制、腎臓や肝臓、心臓への副作用があり、ずっと継続することは困難です。リツキサンはそのような副作用は少なく、患者さんへの負担が少ない治療です。

濾胞性リンパ腫でリツキサン維持療法を行った9つの臨床試験をまとめた報告では、再発した濾胞性リンパ腫でリツキサン維持療法を行うと、生存期間が延長された(死亡する危険が30%減った)という結果が出ています。しかし、どのような患者さんに対して治療効果が高いのか、まだ詳しくはわかっていません。

副作用で気をつけないといけないのは感染症です。リツキサン維持療法を行った患者さんが感染症を合併するのは、維持療法を行わない患者さんの1.67倍と報告されています。またリツキサン投与中、投与後6カ月位は免疫が低下しているので、インフルエンザ予防接種をしても抗体ができないことが知られています。肺炎を予防するための薬を継続して内服したりしながら、手洗い、うがいを行うことが大切です。

R-CHOP療法=リツキサン(一般名リツキシマブ)+エンドキサン(一般名シクロホスファミド)+アドリアシン(一般名ドキソルビシン)+オンコビン(一般名ビンクリスチン)+プレドニン(一般名プレドニゾロン)による多剤併用療法 トレアキシン=一般名ベンダムスチン

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