連載

腫瘍内科医のひとりごと

腫瘍内科医のひとりごと 107 外来化学療法のブルーな1日

2019年11月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 Jさん(54歳 女性 会社員)は4カ月前、両側の頸部のリンパ節が腫れ、1個生検して、悪性リンパ腫の診断でした。全身のCT検査などで、他に腫れているところはなく、最初の抗がん薬治療は、入院して開始...

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腫瘍内科医のひとりごと 106 安楽死に思う

2019年10月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 7月の選挙で、安楽死制度を考える会は「自分の最後は自分で決めたい。耐え難い痛みや辛い思いをしてまで延命をしたくない。家族などに世話や迷惑をかけたくない。人生の選択肢の1つとしてあると『お守り』の...

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腫瘍内科医のひとりごと 105 自分だけの命なのか?

2019年9月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 「先生、この春に亡くなった母のことですけど、こんなこと聞いていただけますか?」と話しかけてきたのは、病院事務の女性(50歳)でした。「母は80歳で、夜、血を吐いて、気づくのが遅くて、私が家に帰っ...

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腫瘍内科医のひとりごと 104 「治療していたい」と言ったKさん

2019年8月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 Nさん(50歳 会社員 肺がん)は、某病院の外来通院治療センターで知り合ったKさんのことを心配していました。通院治療センターの入口を入ってすぐに、4人掛けの長椅子が6脚ほどあります。抗がん薬治療...

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腫瘍内科医のひとりごと 103 「治療をしないで……」

2019年7月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 Aさんは4年前、下行結腸(かこうけっちょう)がんの手術を受けました。このときは肝臓に3個の転移がありましたが、切除できました。手術後、抗がん薬の点滴注射と内服を開始しましたが、5カ月後に肝臓に再...

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腫瘍内科医のひとりごと 102 透析〝いのちの最大限尊重〟の問題

2019年6月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 私たちは、人工透析(以下透析)中の患者ががんになったときは、安全に手術を行い、また、必要な場合は抗がん薬治療も行いました。抗がん薬が投与された場合、その多くは尿から排泄されます。ところが、透析患...

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腫瘍内科医のひとりごと 101 「死に目に会えた」

2019年5月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 がんの終末期、ご臨終、そのときのお話です。「今、息子がこちらに向かってもうすぐ着くのです。間に合うでしょうか?」と言われたことは、何回も、何回もありました。血圧が下がって意識がない、下顎呼吸(か...

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腫瘍内科医のひとりごと 100 ある緩和病棟でのこと――死ぬ覚悟

2019年4月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 あるがん遺族の会報で、とても気になった投稿がありました。それは、緩和病棟に入院したお母様のことでした。「苦しんで逝かせてしまいました。……(母は)死ぬことを恐いと言い、呼吸ができなくなりそうだっ...

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腫瘍内科医のひとりごと 99 毎朝の歌「朝のひととき・早春賦」

2019年3月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 私たちの病院でのことです。がん患者さんの多い病棟の廊下のコーナーで、月曜日から金曜日まで毎朝、患者さんの歌声が響いていました。通算10年以上、2009年3月31日まで続きました。朝8時半頃から体...

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腫瘍内科医のひとりごと 98 「がん温熱療法と温泉」

2019年2月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 寒い日に、温かいお話をします。がんが熱に弱いことは昔からわかっていました。がん細胞は42℃以上、43℃になると壊れていきます。以前、私たちは、なかなか効果が得られない進行胆のうがんに対して、温熱...

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