2009年11月
アメリカ フロリダ州オーランドで聞かれたASCO2009 がんの特徴に合わせた、よりターゲットを絞った治療へ――。 分子標的薬の登場に加え、遺伝子変異による薬の効き方の違いなどが明らかになってきたことで、がん医療は今、個別化の時代を迎えた。 世界最大規模のがん専門学会ASCO(米国臨床腫瘍学会)から、その最前線をレポートする。 腫瘍の生物学的特徴に合わせた個別化治療の時代へ 今年の集会で、会長の...
2009年11月
埼玉医科大学国際医療センター 腫瘍内科教授の 佐々木康綱さん これまでの抗がん剤とは、全く異なるメカニズムで働く「分子標的薬」が本格的に使われ出して8年。 当初は、夢のがん治療薬といわれたこの薬も長所短所が明らかにされつつあり、より効果的な使い方を求めて新たな時代に入ろうとしています。 がんを狙い打ちする分子標的薬 日本で本格的に分子標的薬が使われ始めたのは、転移性乳がんの治療薬ハーセプチン(...
2009年11月
三重大学大学院医学系研究科 消化管・小児外科 准教授・病院教授の 三木誓雄さん がんという病気は不思議だ。同じ部位、同じ時期に生じたがんでも、その進行は人によって異なる。 実は、この進行に炎症が密接に関係していることが明らかになり、それを抑える方法として今、青魚に多く含有している栄養素のEPA(エイコサペンタエン酸)に注目が集まっている。 がんは炎症によって増殖している がんは、不思議...
2009年10月
乳がんの術後補助療法は、現在再発リスクなどを調べた上で治療が振り分けられ行われている。 しかし、それが本当に効果があるのだろうか。今、最先端の遺伝子検査の分野からそれに疑念が投げかけられている。 乳がんの増殖や浸潤に関わる遺伝子の活性度を調べることによって予後を予測しようという遺伝子検査の最前線をレポートする。 どう選択するか乳がんの術後補助療法 乳がんが浸潤(*)性であった場合、切除後も微小なが...
2009年10月
もりやま のりゆき 1947年生まれ。1973年、千葉大学医学部卒業。米国メイヨークリニック客員医師等を経て、89年、国立がん研究センター放射線診断部医長、98年、同中央病院放射線診断部部長で、現在に至る。ヘリカルスキャンX線CT装置の開発で通商産業大臣賞受賞、高松宮妃癌研究基金学術賞受賞。専門は腹部画像診断 患者プロフィール 42歳の女性Pさん。国立がん研究センターにて乳がん検診を受け、がんの...
2009年10月
放射線医学総合研究所理事の辻井博彦さん 難治性のがんに有効で、しかも副作用が極めて少ないといわれるのが重粒子線治療だ。千葉県にある放射線医学総合研究所(以下、放医研)が世界初の重粒子線がん治療専用装置を開発・建設し、臨床応用を始めてから15年。治療を受けた患者の数も、今年中に5千人に達する。 03年に高度先進医療の承認を得ているが、保険適用も早ければ2010年にも実現する可能性があるという。 ...
2009年10月
武蔵野大学・テラ株式会社の 岡本正人さん 札幌北楡病院 がん免疫細胞療法センター長の 小笠原正浩さん 患者の免疫力を最大限に活かそうと、樹状細胞ワクチン療法という免疫療法を軸に、放射線療法や化学療法などを併用する新たながん治療が話題を呼んでいる。「アイマックスがん治療」と呼ばれる治療だが、最近は信州大学、愛媛大学といった国立大学病院も導入を始めている。 その最前線を報告...
2009年10月
セルメディシン(株)代表 早稲田大学客員教授の 大野忠夫さん 「自家がんワクチン療法」が新展開を見せている。従来、ワクチンとは相性が悪いとされてきた抗がん剤や放射線を、組み合わせ方を工夫することによって、良い治療結果をもたらすことがわかった。この新しい症例について報告する。 全国50カ所の医療機関で受診が可能 「自家がんワクチン」とは、手術で取り出した患者さん自身のがん組織(約2グラム)...
2009年9月
東京医科大学 内科学第4講座(消化器内科) 主任教授の 森安史典さん 最近の肝がんの検査法の進歩には目を見張るものがある。いち早く病変を見つけるとともに、悪性度をチェックする鑑別診断や、治療と一体化して正確かつ安全な治療をアシストする役割を担うまでになっている。 ほかのがんとは違う発症メカニズムを持つ肝がん 肝がんの大半はC型、B型の肝炎ウイルス感染によるものなので、肝がんのハイリスク患者に的...
2009年9月
もりやま のりゆき 1947年生まれ。1973年、千葉大学医学部卒業。米国メイヨークリニック客員医師等を経て、89年、国立がん研究センター放射線診断部医長、98年、同中央病院放射線診断部部長で、現在に至る。ヘリカルスキャンX線CT装置の開発で通商産業大臣賞受賞、高松宮妃癌研究基金学術賞受賞。専門は腹部画像診断 患者プロフィール 45歳の女性Iさん。近所の病院で自発的に受けた乳がん検診でがんの疑い...