新しい分子標的薬はより標的を絞り、より副作用を抑える
2014年6月
「日本の医療界全体で取り組んでいます」と笠原寿郎さんイレッサやタルセバの登場で治療が大きく進んだ非小細胞肺がんだが、まだまだ新薬開発の動きは止まらない。第2世代、第3世代と呼ばれる分子標的薬の臨床試験が続々と行われている。新薬開発の現状とその特徴をレポートする。受容体からの刺激伝達を防ぐ肺のがん細胞を模式図にすると、図1のようになる。表面の細胞膜から、様々な受容体が突き出ている。そして、受容体が受...
2014年6月
「日本の医療界全体で取り組んでいます」と笠原寿郎さんイレッサやタルセバの登場で治療が大きく進んだ非小細胞肺がんだが、まだまだ新薬開発の動きは止まらない。第2世代、第3世代と呼ばれる分子標的薬の臨床試験が続々と行われている。新薬開発の現状とその特徴をレポートする。受容体からの刺激伝達を防ぐ肺のがん細胞を模式図にすると、図1のようになる。表面の細胞膜から、様々な受容体が突き出ている。そして、受容体が受...
2014年6月
HER2陽性の乳がんは予後が比較的悪いといわれていました。しかし、2008年にハーセプチンが登場したことにより、生存率、再発率は大きく改善。現在ではHER2陽性乳がん治療の必須の薬剤となっています。最近次々に登場したHER2陽性乳がん治療薬を上乗せして使用することで、さらなる治療効果がもたらされています。どんな薬?――ハーセプチンの特徴 *ハーセプチンは、がん細胞にある「HER2タンパク」と呼ばれ...
2014年6月
「外部への試料分譲は非常に重要なことです」と語る竹内朋代さん手術や検査で採取された組織(腫瘍など)や血液など、診断に使われた後の試料を患者さんの同意を得た上で収集・保存し、医学研究や新薬開発に役立てるために分配(以下:分譲)する施設を「バイオバンク」と呼ぶが、国内外でその設置が進んでいる。そこで、バイオバンクが実際にどのように運営されているのかを中心に、筑波大学附属病院つくばヒト組織バイオセンター...
2014年5月
エルプラットは、2005年に承認された比較的新しい抗がん薬です。大腸がんの治療薬は5-FUのみだったところにエルプラットが登場し、生存期間や症状が安定する期間は大きく伸展しました。再発予防の効果もそれまでの抗がん薬よりも高く、まさに「大腸がん治療を大きく変えた」薬といえます。どんな薬?――エルプラットの特徴 *エルプラットは、「白金製剤(プラチナ製剤)」と呼ばれる抗がん薬の仲間です。がん細胞が増...
2014年1月
大腸がんに対する抗EGFR抗体薬(分子標的薬)の投与に関しては、事前に遺伝子検査でKRAS遺伝子変異の有無を確認することが求められている。同遺伝子に変異があると治療効果が期待できないため、他の化学療法薬を使用することになる。先ごろ、都内で開かれたメルクセローノ社主催のプレスセミナー「切除不能大腸がん治療は変わるのか」では、切除不能大腸がん患者でRAS遺伝子野生(正常)型症例では、抗EGFR抗体薬ア...
2014年1月
乳がん術後の代表的なホルモン療法薬として長く使われてきたノルバデックス。現在、術後5年間の服用が標準治療となっています。この2年間で国際的な臨床試験(ATRAS試験、aTTom試験)の結果がまとまり、服用をさらに5年間継続する合計10年間の治療によって、再発などのリスクが軽減することが明らかになりました。乳がん手術後のホルモン療法薬乳がん全体の約7割にあたるホルモン受容体陽性の乳がんでは、女性ホル...
2013年12月
「分子標的薬の治療はベネフィット・リスク・コストを考慮することが必要」と話す田村研治さん細胞の増殖や浸潤・転移にかかわるがん細胞特有の分子(タンパク質を基に構成されている酵素など)を標的とする分子標的薬。同薬の出現は、「個別化医療」を現実のものとし、2000年以降、がん薬物療法のキーファクターとなっている。しかし、いくつかの課題もあるという。現在開発されているのはほとんどが分子標的薬がんの薬物療法...
2013年12月
国立がん研究センター中央病院乳腺・腫瘍内科科長田村研治さん個別化治療の鍵となる分子標的薬。しかし、どんなに素晴らしい薬剤でも、それを使い続けるといずれ効果がなくなる。そのようなとき、どうしたらよいのだろうか。効いていた分子標的薬もいずれ効かなくなる離れた臓器に転移がある進行がんの状態になると、従来型の抗がん薬でも、分子標的薬でも、基本的に完治させることは困難になってしまう。そこで、このような場合の...
2013年12月
パージェタはHER2陽性乳がんのための新しい治療薬です。手術できない進行再発乳がんで、HER2が陽性の場合、従来は「ハーセプチン+抗がん薬」の併用療法が行われてきました。この併用療法に、さらにパージェタを加えて3剤併用療法にすると、がんが悪化し始めるまでの期間である「無増悪生存期間(PFS)」、および「全生存期間(OS)」が延長することが証明されています。また一歩、乳がんの薬物治療が進歩しました。...
2013年11月
手術で切除できない進行・再発大腸がんに対する3次治療以降の治療薬として、今年5月にスチバーガが発売されました。スチバーガは、がん細胞の増殖にかかわるタンパク質に働き、そのシグナル(指令)をブロックすることによりがんの進行を抑える、経口の分子標的薬です。さらに8月には、消化管間質腫瘍(GIST)の3次治療以降に対しても追加承認され、その効果に大きな期待が寄せられています。 進行・再発大腸がんの3次治...