連載

コラム・レポート

がん哲学「樋野に訊け」 31 今月の言葉「歯を食いしばって笑顔をつくる」

2019年2月

かけがえのない子どもを白血病で失ってしまったR・Eさん パート勤務/37歳/東京都 Q 昨年の秋のことでした。私たち夫婦の一人息子が急性骨髄性白血病(AML)のため10歳で亡くなりました。病院では最善の治療を施してもらったと思っていますし、私たち夫婦もできるだけのことはやったと思っています。でも、1人息子を亡くした思いは生易しいものではありません。それ以来、私はまるで抜け殻のような毎日を送っていま...

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ドイツがん患者REPORT 52 「抗がん薬としてのメサドン」

2019年2月

「懲りずに夢を見ながら」ロックギタリストを夢みてドイツに渡った青年が生活に追われるうち大腸がんに‥ 少し前の話になりますが、昨今のドイツの風潮によくありがちな話なので紹介します。メサドン(商品名メサペイン)、ドイツでは麻酔薬にも分類されている鎮痛薬が、日本でも中程度から高度の疼痛を伴うがん患者に処方されていると聞きました。薬自体は、かなり前からドイツにはあり、構造がシンプルな鎮痛薬です。10年ほど...

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腫瘍内科医のひとりごと 97 「挑戦してこそ得られる結果」

2019年1月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 がん化学療法で、最近すこし気になることがあります。医師の治療ガイドラインの標準治療。それが最も大切で、標準治療が効かなくなったら緩和を勧める、それが規定路線。それで何ら問題はないのかも知れないの...

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がん哲学「樋野に訊け」 30 今月の言葉「大切なのは支えることではなく、寄り添うこと」

2019年1月

末期がんの夫が自分の話を受け入れてくれないE・Uさん 主婦/68歳/大阪府 Q 40年以上連れ添った夫に、去年の秋、大腸がんが見つかりました。がんはすでにステージⅣ、肺や骨に複数の転移も見つかっています。先生は半年程度とみているようです。そんな状態だから、私は夫との最後のひと時を精一杯楽しく過ごしたいと思っています。夫が元気なうちに「旅行に行ってみませんか」と提案したりもしています。海外旅行は難し...

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ドイツがん患者REPORT 51 「天使」

2019年1月

「懲りずに夢を見ながら」ロックギタリストを夢みてドイツに渡った青年が生活に追われるうち大腸がんに‥ 「10月31日、子供たちがドアの呼び鈴を鳴らしてお菓子をねだりにやってくる」ドイツには元々なかった行事ですが、いつしか定着して仮装した若者たちがパーティに行く様子も例年通り見られました。バイエルン州ではそれも夜12時まで。日付が変わると、野外でのダンスや大きな音での音楽は禁止です。日本では最近、公道...

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腫瘍内科医のひとりごと 96 患者の想い・医師の想い

2018年12月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 Sさん(45歳男性、スーパーの支店長)は、胃がん手術1年後に、腹腔内のリンパ節に再発し、抗がん薬の点滴と内服治療を行った。約半年でリンパ節転移は消失し、抗がん薬治療は内服のみとなった。それから2...

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がん哲学「樋野に訊け」 29 今月の言葉「先のことを憂うより今を楽しむ」

2018年12月

自分や娘の将来のために遺伝子検査を受けたいA・Sさん 主婦/37歳/東京都 Q 5年前に結婚して2人の女の子を持つ30代の専業主婦です。昨年秋、入浴中に体を洗っているとき、右の乳房にあずき大のしこりに気がつきました。嫌な予感を覚えて、自宅近辺の病院で検査を受けると、早期の乳がんであることが判明しました。早期段階だったため、手術で部分切除、乳房もそのまま温存することができました。ただ、これからの長い...

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ドイツがん患者REPORT 50 「新しい抗がん薬の代金は、効かなければ支払わなくてもよい?」

2018年12月

「懲りずに夢を見ながら」ロックギタリストを夢みてドイツに渡った青年が生活に追われるうち大腸がんに‥ 医療コストの増大が、健康保険の財政を圧迫しているのはドイツも日本も同じらしく、このテーマはテレビ番組などで、以前からよく取り上げられています。コスト増大の原因は、薬の開発が凄まじい進歩を遂げ、次々と新薬が生み出され、とくに抗がん薬の分野では個々のがん患者に合わせた高価な新薬が開発されているからだと言...

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腫瘍内科医のひとりごと 95 〝転院させられた〟病院の古さ

2018年11月

ささき つねお 1945年山形県出身。青森県立中央病院、国立がんセンターを経て75年都立駒込病院化学療法科。現在、がん・感染症センター都立駒込病院名誉院長。著書に『がんを生きる』(講談社現代新書)など多数 ある地方への旅で、その地域の中核となるZ病院が新しく出来たと聞いて、宿泊した旅館の方に話しかけてみました。旅館の方は、「建物は立派だけど、Z病院の評判は良くないのです」と言って、話し始めました。...

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がん哲学「樋野に訊け」 28 今月の言葉「自分ががんになったのはこの時のためかもしれない」

2018年11月

親友に会いたいが心配させたくないT・Mさん 独身/68歳/兵庫県 Q 4年前に乳がんを患いました。診断はステージ(病期)Ⅱで、乳房の全摘手術とその後のホルモン療法で元気を取り戻すことができました。そしてあと一息で5年を迎えようというときに、状況が一変しました。術後4年の検診で、肺と脳への転移が見つかったのです。転移部位は6カ所、現在は通院で化学療法と放射線治療を受け続けています。もっとも、率直にい...

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