2006年10月
まずは「完全寛解」をめざし、さらに治癒へ 治療は1回だけで終わるものではない。急性骨髄性白血病の治療目標は、治癒すなわち病気を完全に治して、健康な日常生活を取り戻すことだが、その前段階として、全身症状が改善した「*完全寛解」の状態に到達するための治療が行われる。 まず「*寛解導入療法」といって、白血病細胞を強力に攻撃する治療を行う。ここで効果があっても、手をゆるめるとすぐ白血病細胞は増加してく...
2006年10月
東京慈恵会医科大学付属病院 血液・腫瘍内科部長の 薄井紀子さん 慢性骨髄性白血病の治療は、グリべックの登場で画期的な進歩を遂げた。 2006年6月、ASCO(米国臨床腫瘍学会)でグリベックの5年間の治療成績が発表された。 グリベックを用いた群の全生存率は89.4パーセントという優れた成績だった。慢性骨髄性白血病の治療と、グリベックの5年間について、東京慈恵会医科大学付属病院血液・腫瘍内...
2006年10月
東海大学医学部 血液・腫瘍内科教授の 安藤潔さん 血液の元となる幹細胞は、分化して骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれる。「リンパ性の血液がん」である、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫は、このうちリンパ系に分化した細胞ががん化する病気だ。 これらの中心となる治療は、主に多剤併用の抗がん剤治療だが、現在、分子標的薬や、移植技術の発達により、新しい可能性も開かれてきている。...
2006年10月
東海大学医学部 血液・腫瘍内科教授の 安藤潔さん 血液の元となる幹細胞は、分化して骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞に分かれる。「リンパ性の血液がん」である、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫は、このうちリンパ系に分化した細胞ががん化する病気だ。 これらの中心となる治療は、主に多剤併用の抗がん剤治療だが、現在、分子標的薬や、移植技術の発達により、新しい可能性も開かれてきている。...
2006年10月
都立駒込病院血液内科部長の 坂巻壽さん 最近注目されている血液のがんの1つに骨髄異形成症候群(MDS)と呼ばれるものがある。 子どもを含めた若年層にも見られるが、多くは高齢で、これが増えている。治療しなくていい場合もあれば、いい治療法がない場合もあり、なかなかやっかいな病気であるが、最近は分子標的薬やサリドマイドの出現により希望も出てきた。 高齢化社会の影響で骨髄異形成症候群が増加 骨...
2006年10月
高齢者に多い多発性骨髄腫は、治療によっていったん完全寛解にいたっても、やがてまた再発してくるところがやっかい。 再発を予防する方法も、まだ確立していない。しかし、このような再発・難治例に対してただ今注目されているのがサリドマイド、レブラミド、ベルケイドの3つの薬剤。その効果のほどを確かめてみる。 新しい薬が治療全体を変える可能性がある 終末分化したB細胞(形質細胞)に生じた難治性のがん 多発...
2006年9月
サポート医師・山中康弘 栃木県立がんセンター 化学療法科医長 やまなか やすひろ 1969年生まれ。 94年旭川医科大学卒業。 5年間の研修後、国立がん研究センター中央病院内科レジデント、がん専門修練医を経て2006年より現職。 日本産科婦人科学会専門医。 モットーは「正確な情報をもとに患者さんと一緒に考える治療の実現」 検査の結果、卵巣に腫瘍。「すぐに手術が必要」と告げられた 荒山扶美...
2006年9月
サポート医師・渡辺亨 医療法人圭友会 浜松オンコロジーセンター長 わたなべ とおる 1955年生まれ。80年、北海道大学医学部卒業。同大学第1内科、国立がん研究センター中央病院腫瘍内科、米国テネシー州、ヴァンダービルト大学内科フェローなどを経て、90年、国立がん研究センター中央病院内科医長。2003年、山王メディカルプラザ・オンコロジーセンター長、国際医療福祉大学教授。 現在、医療法人圭友会 浜...
2006年8月
浜松オンコロジーセンター長の 渡辺亨さん 2006年のASCOの発表で最大のトピックスといえば、乳がんの「個別」治療という方向性が明確になったこと。 HER2タンパク強陽性とホルモン受容体陽性という2つのタイプの乳がんに対して、それぞれ生存期間延長を示す画期的な臨床試験データも示された。浜松オンコロジーセンター長の渡辺亨さんにその報告を聞く。 同じ乳がんでもまるで別の病気 「乳がんに関する...
2006年8月
血液がんの分野で注目される発表は、なんといっても慢性骨髄性白血病に対するグリベック療法の5年の治療成績であった。 5年生存率89.4パーセントという高さもさることながら、治療期間が長くなるほど臨床効果がよくなることまで示された。 高齢の多発性骨髄腫患者における治療 今大会で注目される演目(プレナリーセッション)で最初に発表されたのは、多発性骨髄腫に関するものであった。現在のところ、65歳未満...