2009年11月
アリムタ(一般名ペメトレキセドナトリウム水和物)は、アスベストの曝露が原因とされる悪性胸膜中皮腫患者に有用性が確認された世界で初めての薬剤です。そして、2009年5月、アリムタは「切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」にも適応症を拡大しました。 今回の適応症の拡大は、これまで有効性に大きな違いがなかった肺がん治療に、薬剤選択の明確な基準を設けるものとなりました。 非扁平上皮がんの生存期間を延長 肺...
2009年10月
海外で一般的に使われている薬が日本でなかなか認可されないという「ドラッグ・ラグ」の問題。 この「ドラッグ・ラグ」は一体いつ解消されるのか――。これまでの国の動きを検証する。 世界でも特異な「がん難民」を生み出した「薬の承認問題」 未承認薬とは、海外では有効性が証明され、承認されているにもかかわらず、日本では薬事法で承認されていないため、健康保険のもとでは使えない薬を指す。日本には「もはや打つ手な...
2009年10月
千葉ポートメディカル クリニック院長の 今村貴樹さん 世界で一般的に使われている薬が日本で承認されておらず、保険のもとで使えない――。 未承認薬の問題は、患者さんに立ちふさがっている大きな壁と言えるだろう。しかし、ここであきらめてはいけない。 未承認薬を個人輸入して使う手もあるのだ! 未承認薬だからこそ、エビデンスが大切 現在、千葉ポートメディカルクリニックを訪れるがん患者さんは約50人。...
2009年10月
これまで、ホルモン療法の効かなくなった進行期の前立腺がんの患者さんに対しては、効果的な治療法はなく、緩和的治療が行われてきました。 2008年8月に抗がん剤タキソテール(一般名ドセタキセル)が前立腺がんへの適応追加の承認を取得し、前立腺がんの治療に大きな変化をもたらしました。 タキソテールはステロイド剤と併用することで、前立腺がん患者さんのQOL(生活の質)を改善し、生存期間を延長させる効果もある...
2009年9月
TS-1は日本で開発され、胃がんの治療薬として1999年に承認後、大腸がん、乳がんなど適応範囲を広げてきました。効果はもちろん、飲み薬なので外来治療に適しているなど、使いやすさの点でも高い評価を受けています。 しかし、カプセルより顆粒を好む患者、高齢の患者、嚥下困難な患者の中にはカプセル剤をうまく飲み込めない人も少なからずいました。そこで開発されたのが、水に溶けやすく服用しやすいスティック包...
2009年8月
抗がん剤が効いていても、副作用として起こる好中球減少症によって、治療を中断しなければならないことがあります。抗がん剤の減量や、投与スケジュールの変更を余儀なくされることもよくありました。これらの副作用を改善したのが、グランです。 好中球を増やし、好中球の機能を亢進させる作用を持つこの薬は、好中球減少症を改善させることで、がんの化学療法をサポートします。 化学療法の副作用「好中球減少症」を改善 がん...
2009年7月
岡山大学医学部付属病院 遺伝子・細胞治療センター 准教授の藤原俊義さん テロメライシン、といっても、聞いたことがない人が多いのではなかろうか。知っている人はかなりのがん通といっていいかもしれない。風邪の原因としておなじみのアデノウイルスを改変して作り出した、まったく新しいタイプの治療法だ。感染するとがん細胞の中だけで増殖して、がんを破壊するように設計され、近い将来薬になる予定で進んでいる。 今まで...
2009年7月
子宮頸がんは早期に発見できれば、治る可能性が高いのですが、進行して発見されるケースも少なくありません。背景には、子宮がん検診を受ける女性が少ないことがあります。 また、子宮頸がんの原因の大半はHPV(ヒトパピローマウイルス)と呼ばれるウイルスです。 HPVに感染しているかどうかは、簡単な検査で調べることができます。「アンプリコアHPV」は、13種の高リスク型HPVに感染しているかどうかを調べる検査...
2009年6月
ネクサバールは、日本で初めて、根治切除不能または転移性の腎細胞がんを適応症として製造販売承認を取得した経口の分子標的治療薬です。 細胞増殖や血管新生(がん組織への血液供給)にかかわる複数のキナーゼ(がん細胞の増殖に関与する酵素)を阻害し、腎細胞がんの増殖を抑えます。そしてそれによって患者さんの無増悪生存期間を延長する、従来の治療法とはまったく異なる新しい腎細胞がん治療薬です。 日本初の腎細胞がんを...
2009年5月
慢性骨髄性白血病の治療は、グリベック(一般名イマチニブ)の登場で大きく変わりましたが、すべてが解決したわけではありません。もともとグリベックが効かない人もいるし、耐性で効かなくなる人もいるからです。 スプリセル(一般名ダサチニブ)は、そういった人たちの第2次治療で効果が期待されています。また、フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ性白血病の治療にも使われます。この分子標的薬の登場によって、白血病治...